個別銘柄ファンド「イークラウド NEXT」第1号、核融合スタートアップ Helical Fusionへの出資募集を開始。期間は10月23日まで。
Helical Fusionは「ヘリカル型核融合炉」の2030年代の商用化を目指しており、核融合反応を商用発電に用いるための定常運転・正味発電・保守性の三要件を満たすことが可能としています。
ミドル・レイターに個人投資できる個別銘柄ファンド「イークラウド NEXT」第1号は核融合スタートアップのHelical Fusionに(BRIDGE)
このヘリカル型(核融合)発電を現行の原子力発電(核分裂)と比較して、コストや安全性の違いを解説します。
核分裂発電と核融合発電の最大の違いは安全性と廃棄物

核融合発電とは、太陽が燃え続けているしくみ「核融合反応」を地上に再現するようなもの。
現行の原子力発電(核分裂発電)に比べて暴走事故のリスクが低く、廃棄物の問題も小さいという特徴があります。
なぜなら、核融合は反応条件が崩れるとすぐ止まるため、チェルノブイリや福島第一原発のような大規模事故が起きにくいからです。
その一方で、核分裂(現行の原子力発電)は長期間放射線を出し続ける廃棄物が大量に出るため、管理コストが非常に高くなります。
安全性と環境負荷を考えるなら、将来は核融合発電が優位になる可能性が高いと言われています。
核分裂と核融合それぞれの発電方法と仕組みの違い
核分裂発電は、ウランやプルトニウムの原子核を中性子で分裂させ、その熱で水を沸かしタービンを回す仕組みです。
一方、核融合発電は、重水素や三重水素といった軽い原子核を1億℃以上に加熱・圧縮して融合させ、そのエネルギーで発電します。
イメージとしては、核分裂が「燃える薪の炎をコントロールする」なら、核融合は「条件が揃った時だけ一瞬光る閃光」を利用するような感じです。
核融合発電所の建設コストは現行原子力発電所の5~10倍
コスト面でも大きな違いがあります。
核分裂発電所は1基あたり5,000億〜1兆円程度で建設され、出力は100〜150万kWが一般的です。
核融合発電はまだ研究段階ですが、ITER(※)のような実証炉は5兆円超の建設費がかかる見込みです。
ただし、核融合は燃料(重水素)が海水からほぼ無尽蔵に得られるため、ランニングコストが極めて安くなる可能性があります。
※ITERとは、核融合エネルギーの実現性を研究するための実験施設
脱原発を可能にする「核融合発電」に期待
現状は核分裂発電が実用化されており安定した電源として使われていますが、将来の安全性・環境負荷・燃料供給面では核融合が有望と言われています。
ただし、核融合の商業化は早くても2050年以降と言われており、当面は原子力(核分裂)発電や再生可能エネルギーの組み合わせが現実的な選択肢となりそうです。
核分裂発電と核融合発電の比較表
項目 | 核分裂発電(現行の原発) | 核融合発電 |
---|---|---|
発電原理 | ウラン等を核分裂させ熱で蒸気タービン回転 | 重水素・三重水素を高温高圧で融合 |
主燃料 | 濃縮ウラン、MOX燃料 | 重水素、三重水素(海水に含まれている) |
温度 | 約300℃ | 約1億℃以上 |
規模 | 100〜150万kW | 数十万〜100万kW(想定) |
設備費 | 5,000億〜1兆円 | 実証炉5兆円超 |
廃棄物 | 高レベル廃棄物多数 | 高レベル廃棄物ほぼなし |
事故リスク | 炉心溶融など大事故あり | 暴走せず即停止 |
商業化 | 稼働中 | 2050年以降見込み |
福島第一原発の事故以降「脱原発」が叫ばれていますが、全国各地の原発が停止していることは、電気料金の高騰にもつながっています。
核融合による発電が実用化すれば安全性も高まり、今後は電気料金がもっと安くなっていくのかもしれませんね。